メーカー | Novation |
---|---|
カテゴリ | MIDIコントローラー |
発売時期 | 2010/5/19 |
価格 | 31,142 円 (税込) ※1 |
文字表示ディスプレイ、16個のノブ・8本のフェーダー・32個のLED付きボタンを搭載、DAW/プラグインを暗いステージなどでもモニタリングしやすく操作性の高い、Novation 究極のプロ仕様 MIDIコントローラー。シーケンサーやプラグインのパラメーターを、コントローラーのボタン・ノブ・フェーダーに簡単にアサインできるためのソフトウェア「Automap3PRO」を同梱、パラメーターをクリックして ZeRO SL MkII に触れるだけで可能となります。
[tubepress mode=”tag” tagValue=”Novation ZeRO SL MkII”]
Mac | Mac OSX 10.4.0 以上 |
---|---|
iOS | Windows XP with Service Pack 2以上 (Vista 32/64) |
接続端子 | USB , |
仕様 | ■接続端子:USB、MIDI 1in/2out、サスティンペダル用端子、エクスプレッションペダル用端子 ■USBバスパワー ■寸法:W 445, H 68, D 293 mm |
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
No.53774:沢木良太 2014年5月26日
■■■ Novation ZeRO SL MkIIの特徴 ■■■
▼充実の各種コントローラ
▼実用的なデザイン
▼クロスフェーダーを搭載
▼Reasonとの相性が非常に良い
今でこそDTM環境はフルオーケストラな交響曲からオルタナティヴロックや民族音楽まで、打ち込みでは不可能とされてきた生楽器の繊細な表現までいとも簡単にやってのけられる技術に発展しましたが、1カ月アルバイトしてやっとシンセサイザーが1台買えた時代には、サンプラーを何台も揃えて生演奏をシミュレートするなど夢のまた夢であり、チープな機材たちで細々と捻り出したアイディアが意外と斬新で刺激的だったりしました。
その代表的な例が、Roland TB-303を駆使したアシッドハウスであり、のちにハードフロアがブレイクする時代へと流れていきます。「こんな音使えん」と叩き売りされていたRoland TB-303に恐ろしいまでのプレミアがつき、ついには何種類ものレプリカを世に出すことになろうとは、当時のRolandの方は想像だにされなかったことでしょう。
そんなレプリカとして名を馳せたのが、初代のNovation Bass Stationでした。残念ながら所詮レプレカはレプリカ、本物には逆立ちしたって適うわけがありませんが、このBass Station、なんとソフトウェアシンセとしても移植され、今や定番シンセとしての地位を確立するまでに至りました。
さて、今回はそういった歴史のあるNovationがリリースしているSL MkIIシリーズの中から、鍵盤の無い純粋なフィジカルコントローラーである、Novation ZeRO SL MkIIをレビューします。
■■■ Novation ZeRO SL MkIIを選ぶ理由 ■■■
前述の通り、SL MkIIはシリーズ化されており、ザックリ分類すれば「鍵盤が有るか無いか」です。私は、Propellerhead Reason用としてのフィジコンを探しており、鍵盤付きなら88鍵以外に選択肢はありませんでした。残念ながら、SL MkIIシリーズには88鍵バージョンはなかったのですが、鍵盤付きバージョンには、KORG kaossilatorのようなタッチパッドが装備されており、鍵盤無しバージョンにその機能はありませんでした。さらに、クロスフェーダーは鍵盤無しバージョンにしか搭載されておらず「これは両方買えということか(怒)」と理不尽な思いに駆られ迷子になっていました。タッチパッドに拘った理由は、ReasonのデバイスであるThorのFormant Filterが、U-he Zebraの様なX軸とY軸で複数のパラメータを同時にコントロール可能なインターフェイスであり、資力さえ許せば、Wacomの液晶ペンタブレットを買いかねない勢いでした。もちろん自重しましたが。余談にはなりますが、液晶ではないWacomのペンタブは所有しており、Formant Filterで実験してみましたが、見事に撃沈しました。
そんなわけで、
▼88鍵を見送る
▼タッチパッドは格安なKORG nanoPADを使う
と方向性を定めた結果、様々なメーカーから適価で鍵盤無しフィジコンがリリースされている中、Novation ZeRO SL MkIIを選んだ理由は、
▼クロスフェーダーが搭載されていたから
が決め手となりました。
これは何もDJだけが目的ではありません。激しくスクラッチをしないのなら縦フェーダーでミックスしたっていいわけです。ReasonにはThe Echoという素晴らしいデバイスがあり「エコーマシンのROLLとして横フェーダーが使える」というのが大きなポイントでした。まあ、単純に見た目もカッコイイですしね。
■■■ Novation ZeRO SL MkIIを活かす使い方 ■■■
フィジコン選びのポイントは「どのDAWをコントロールしたいのか」で大きく変わってきます。あくまでも私の場合は、Propellerhead Reasonありきで選んでいましたので、主にReason以外のDAWでトラックを制作されている方にはあまり参考にはならないかもしれませんが、Reason目線でフィジコンを探す場合、まず「Reasonはソフトウェアであってソフトウェアでは無い」という特徴に注目せざるをえません。概念的な意味で。これは、Reasonが、いまだにCV / Gate接続などという太古の知恵を最先端テクノロジーで採用していることからもわかります。極論ですが「Reasonはハードウェアである」と考えた場合「いかにハードウェアに近い操作感覚でソフトウェアの部分をコントロールできるか」が肝になってきます。
古い話になりますが、Roland MKS-50におけるPG-300、MKS-80におけるMPG-80、といったまるで専用コントローラであるかの様なインターフェイスであるにこしたことがないわけです。
私の場合は、本来ならばSL MkIIの大きな特徴でもあるAutomapはオフにしてカスタマイズして使っていますが、ReMOTEとの親和性は言うまでもありません。まったくのDTM未経験者であってもSL MkIIとパソコンをUSBで接続するだけで、即Reasonをリアルに手動でコントロールできるでしょう。
SL MkII + Reasonの組み合わせに使い慣れて「もっとこうしたい」という欲求が出てきたら、私の様にAutomapをオフにして、必要なボタン、ノブ、フェーダーにアサインし、自分好みの設定にチューニングすることが、いくらでも可能です。
■■■ Novation ZeRO SL MkIIの醍醐味はライヴ ■■■
どんなにスピーカー、ヘッドホン、カーステ、スマホなど様々な環境で聴き比べて音量やEQやPANやエフェクタを1メモリ上げたり下げたりして何度も何度も微調整してみたところで、そんな地道な努力はライヴのサウンドシステム次第で屁の様に吹っ飛びます。
どういったスタイルでライヴをやるのか、どこまでが打ち込みでどこまでが生演奏なのか、そのバンド、ユニット、プロジェクトによって多様ですが、自分たちの目指す音をよく理解している専属のPAがいない、あるいは自らPAも兼ねる、という場合にもSL MkIIはその威力を最大限に発揮してくれます。
どの帯域の音を重視するかによってアサインするポイントも変わってきますが、テクノでキックは打ち込み、という場合なら、キックの音量とEQ、その他主役級の聴かせたい音たちのセッティングをアサインしておけば、リアルタイムでライヴの音空間をコントロールすることが簡単にできてしまいます。いちいちマウスやキーボードでちまちま調整していたらアッという間に1曲終わってしまいますからね。言うまでもありませんが、どんなにリハでは良く鳴っていても客が入れば鳴り方も違ってきます。ライヴは一期一会です。思いついたその瞬間にやりたいことがすぐに出来る、それもNovation ZeRO SL MkIIの最大の魅力といえるでしょう。