「Dark Energy」は、1990年代のテクノブームに乗って世界中でベストセラーになったラック式アナログシンセサイザー「Doepfer MS-404」を、コンパクトなテーブルトップ型に再構築し、格段に使いやすく生まれ変わった後継機です。MIDI、USB MIDI、CV/Gateコントロールが可能なテーブルトップタイプの小型アナログ・モノフォニック・シンセサイザーという点で高い人気を得ており、デスクトップ・セミモジュラーシンセ人気を代表する機種となっています。
「Dark Energy」シリーズの特徴
小型で堅牢なシャーシに濃密なアナログサウンドを生み出すアナログ回路とデジタル回路を搭載し、あらゆるシステムに導入する事ができるというのがシリーズの大きな特徴です。また”セミモジュラー”のため、特別なパッチングをしなくてもシンセサイザーとして演奏することができ、必要があればモジュラーシンセの様にパッチケーブルを繋ぐこともできるのが大きなメリットです。
音源はVCO x 1、VCF x 1、VCA x 1、LFO x 2、ADSR x 1という構成。ファットなベース、音抜けの良いリードサウンド、強烈なノイズ、金属的で過激なエフェクト、ドローンサウンドなど多彩な音作りが可能で、シンプルな構成ですが奥深い音作りが楽しめるのが本機の魅力となっています。コントロールも豊富に用意され、MIDIキーボードを繋いでの演奏はもちろん、USBケーブルでパソコンとつなぎシーケンサーソフトウェアで演奏することも可能、CV/Gateやオーディオ入出力をパッチングすることで外部アナログシンセと組み合わせての演奏も可能です。
「Dark Energy III」の特徴
2009年に登場した初代「Dark Energy」から継続的に進化を続け、現在の最新モデルは2018年7月に登場した「Dark Energy III」となっています。基本的な構造や操作系統は「I」「II」とほとんど変わっていませんが、三角波コアの VCO を搭載、LFO1 と LFO2 のリセット入力を新搭載するなど、機能面で進化を遂げています。これからアナログシンセ、モジュラーシンセをやってみたいという人向けの入門機種としても最適なモデルです。
「III」と「II」の違い
「Dark Energy III」は「Dark Energy II」の正統派後継機種で、旧モデルに比べて
VCO がノコギリ波コアから三角波コアに変更
ウォームアップ時間が不要になり、電源を入れてすぐに安定したピッチで演奏可能
VCO のチューニング精度が向上、8オクターブに渡る 1V/Oct トラッキングを実現
VCA のコントロールががリニア・スケールに変更
LFO1 出力と エンベロープ出力の代わりに LFO1 と LFO2 のリセット入力を搭載
内部基板の機能拡張用ピンヘッダーが増加、インバーターが追加
といった変更が施されています。
「Dark Energy III」の仕様
VCO
三角波ベースの VCO コア
マニュアルチューン・コントロール (内部ジャンパーを使用して半オクターブまたは +-2.5 オクターブに設定可能)
レンジスイッチ (-1 / 0 / + 1 オクターブ)
フリーケンシーレンジ 約 32Hz (C0) 〜 4.2kHz (C8)
FM モジュレーション ソース選択スイッチ (LFO1 / OFF / ADSR)
矩形波のマニュアル・パルスワイズ・コントロール
PWM コントロール ソース選択スイッチ (LFO2 / OFF / ADSR)
波形切替スイッチ (ノコギリ波 / OFF / 三角波)
スイッチで選択した波形と矩形波の合計を VCF に供給 (矩形波をオフにするにはパルスワイズ・コントロールを0にします)
1V/Oct 外部 CV 入力
矩形波 PWM の外部 CV 入力
内蔵 USB/MIDI インターフェースの CV1 出力に入力された周波数(1V/Oct)の内部 CV 入力
ウォームアップ時間なし 電源投入後すぐに安定したピッチコントロールで使用可能
8オクターブに渡る 1V/Oct トラッキング
VCF
12dB マルチモードフィルター (ローパス、ノッチ、ハイパス、バンドパス)
ローパスからノッチを経由してハイパスに、そしてバンドパスへ連続可変するモード・コントロール
マニュアル・フリーケンシー・コントロール
トラッキング・スイッチ (ハーフ / OFF / フル) VCO の外部 CV 入力に内部接続されており、ハーフまたはフルに設定されていると VCF が VCO に追従
XFM ソース切替スイッチ(LFO2 / OFF / ADSR)
XFM コントロール・アマウント (+または-)
マニュアル・レゾナンス・コントロール (自己発振可能)
外部オーディオ入力 (VCO に加算)
フィルター・フリーケンシーの外部 CV 入力
サイン波オシレーターとして数オクターブに渡る 1V/Oct が可能
VCA
マニュアル・アンプリチュード・コントロール (イニシャル・ゲイン)
AM モジュレーション・ソース選択スイッチ (LFO1 / OFF / ADSR)
VCA アンプリチュードの外部 CV 入力
リニア・コントロール・スケール
LFO1, LFO2
マニュアル・フリーケンシー・コントロール
波形切替スイッチ (三角波 / OFF / 矩形波)
レンジ切替スイッチ (Low / High (オーディオレート) / Middle)
リセット入力 (最低 5V からのゲート、トリガー、矩形波の立ち上がりエッジに反応、リセット後 0V から三角波が動作開始)
LED ディスプレイ (信号の +/- がモニターできる緑と赤の2色LED)
ADSR
アタック、ディケイ、サスティン、リリースのマニュアルコントロール
レンジスイッチ (Long / Short / Mideum)
LED ディスプレイ (明るさで信号の強さがモニターできる青LED)
外部ゲート入力 (内蔵 MIDI / USB インターフェースのゲートアウトに内部接続)
USB / MIDI インターフェース
MIDI チャンネルとリファレンス・ノート (最低音のC) はラーニング・ボタンと LED で設定
ゲート信号と3つのアナログ CV 信号を生成 CV1 : ピッチCV、CV2 : VCF フリーケンシー(MIDI コントローラーに割り当て可能) CV3 : リアパネルから出力 (ベロシティ)
CV レンジ : 0 〜 +5V (5オクターブに相当)
ゲート信号と3つのアナログ CV 信号はリアパネルからも出力
入力 / 出力
フロントパネル
CV 入力 VCO フリーケンシー (1V/Oct)
CV 入力 VCO パルスワイズ (フルスケールでおよそ5Vレンジ)
CV 入力 VCF フリーケンシー (〜1V/Oct)
CV 入力 VCA アンプリチュード (0 〜 +5V)
ゲート入力 (0 / +5V 〜 +12V)
外部オーディオ入力 (標準 1Vss 入力、ディストーションなし)
LFO1 リセット入力
LFO2 リセット入力
オーディオ出力 (ライン出力、標準1Vss、モノラル)
リアパネル
USB (タイプB)
MIDI IN
ラーンボタン
Gate : 0/+5V (ゲートおよびラーン機能表示用 LED)
CV1 : MIDI ノートメッセージ (0 〜 +5V)(1V/Oct VCO の CV 入力に内部接続)
CV2 : MIDI ピッチベンド (-2.5V 〜 +2.5V または -5V 〜 +5V に設定可能 内部ジャンパーにより設定)内部接続なし
CV3 : MIDI ベロシティ (-5V 〜 +5V)内部接続なし
CV4 : MIDI コントロール・メッセージ (ラーンモードでアサイン可能)内部接続なし
CV4 はオーディオ出力としても使用可能 (内部ジャンパーにより設定)
電源 : 12〜15V AC 最小 500mA
寸法:185 x 145 x 65 mm
重量:1.2 kg
Dark Energy III:リアパネル
VIDEO